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しんぼー/Shinboh

Author:しんぼー/Shinboh
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ルポ集『東南アジアの人々』
"People in Southeast Asia"

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フォトジャーナリストの戯言
取材に基づく記事やビデオリポートではなく、日々の戯言
社会は荒んでいる?センセーショナリズム?
 このところニュースを見ていると、殺人事件があちこちで発生しているような印象を受けます。しかし、10年単位で統計を見ると、日本の殺人をはじめ刑事事件の人口あたりの件数は確実に減少して来ています。1年単位で見て前年を上回る年に「増加」と報じるメディアがあることに加え、インターネットの発達に引っぱられて、以前なら新聞は地方版で、テレビならローカルニュースでしか報じなかった事件が全国ニュースになることが多くなり、頻発や増加といった事実と異なる印象を受け手に与えているかも知れません。遠方の出来事には無関心であることが根にある地域格差を縮めるという大事な目的は解りますが、一方でセンセーショナリズムで利益を上げようという魂胆も見え隠れしています。
 また、容疑者の犯行動機が理解しがたい事件は、世相や環境を反映しているのではないかという議論を巻き起こしたりするので、それなりに理解できる屈折していない動機の犯罪より大きく繰り返し報じられます。これがまた「世の中はますます荒んでいる」というイメージを与え、偏見や差別を助長することになっていなければ良いと思うのですが…。
 犯罪件数の増加の背景には、1920年代前半や1940年後半を例に、戦争や恐慌、失業、貧富の差など経済要因が挙げられます。自由競争は経済発展に不可欠ですが、ヒトという生物としての、或いは、社会的存在としての個々人における異差から、経済の物差しだけではどうしても優劣がついてしまいます。そして、そこに悔しさや不満、妬み、疎外感といった感情が生じ、それを手っ取り早く満たしたり解消したりするために反社会的な行動や超法規的な犯罪という形に走る場合も多いと思うのです。雇用や福祉、教育、至っては家族や友達の間での互助も、やはり経済の影響を避けられませんが、それでも当時と比べれば、今は戦争は起していませんし、他の社会問題も小さくはなって来ていることから、犯罪件数も減少しているのだと思います。
 宗教じみて来るかも知れませんが、経済の物差しに囚われるが故に屈折した犯行動機が生じていることも少なくないように思うことから、カネで買えないモノにこそ至上の価値があるというコンセンサスが醸成されれば、犯罪はもっと減り、誰もが暮らしやすい社会になるのではないか、そのためには…と逡巡しています。公共の福祉という大命題から言えば、報道はより早く警鐘を鳴らして問題提起するのが使命なのですが、センセーショナリズムに陥って“オオカミ少年”になってしまってはいないか、しかし、油断すれば退行もあるのではと、個人の立ち位置としても難しく思っています。(しんぼー)

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テーマ:事件 - ジャンル:学問・文化・芸術

タイでの日本人スキャンダル
 自主取材の帰り道、バンコクに立ち寄るとタイの新聞テレビは「24歳の日本人男性がここ2、3年の間に体外受精で10数人の子どもを作っていた」というニュースで大騒ぎになっていました。人身売買や代理母が社会問題になりつつある一方で、日頃から死体の写真まで載せるタイでは、その男性、氏名・顔写真付きで報じられていました。「通信業界成功者の御曹司で、3カ国のパスポートを持っているらしい」とスキャンダルの要素も十分です。
 このニュースを耳にして色々な思いが頭を過ぎりました。まず、タイ人女性との間に子どもを作ったものの認知や養育費など後のことは知らないという無責任男の話とは少し違うようだということ。次に、タイは性適合手術や不妊、がん治療などの先端医療を外国人富裕層向けに産業化していますが、とうとうこんな事件が起きる舞台になったかということ。三つ目には70年代に同じくタイのチェンマイで若いタイ人女性ばかりで“ハーレム”を作っていた日本人のことを思い出しました。そして、ずっと立ちこめている疑問が、何よりも想像すらできない男性の動機です。
 複数の報道に触れましたが、タイ警察の調べに対する「沢山の子どもを作ることが世界への貢献だから」とか、「会社を継がす優れた子孫を得るため」といった男性の動機説明は全く解せません。一方で「過去に3人の子どもをカンボジアへ連れ出したことがある」という情報もあります。里子を反社会的な方法で得ようとする夫婦や違法な児童労働で稼ごうとする業者に子どもを提供する人身売買は、この男性の場合、経済的余裕が十分にあり、そんなリスクを冒すとは考え難いことです。また、実子の中から優れた後継者をというのは、DNAよりも養育環境や教育が大きく影響する故、これまた全く非現実的です。
 かつてチェンマイで有名になった日本人は女性たちと屋敷に一緒に暮らし、彼女たちの家族の面倒も見ていました。人身売買の容疑で逮捕され国外追放になりましたが、パスポートのローマ字表記を変えて、その後はカンボジアのボイペットやシェムレアップで同様に多くの女性を囲う生活をしたそうです。この男の場合、大きな経済格差や未整備な法、それに人権意識の低さを利用して原始的な“オスの欲望”を実現させたのではと、ある意味で解せます。しかし、今回の24歳の男性は代理母と親しくしたり、子どもたちと一緒に大家族で暮らしたりするわけではないのに、代理出産料や養育費だけは払っていたとも言われています。それでは父親の気持ちや思いは子どもに伝わらず、「優れた後継者」にも育たないでしょう。う~ん、「男性の供述が待たれます」としか小生も言えません。(しんぼー)