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しんぼー/Shinboh

Author:しんぼー/Shinboh
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ルポ集『東南アジアの人々』
"People in Southeast Asia"

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フォトジャーナリストの戯言
取材に基づく記事やビデオリポートではなく、日々の戯言
イスラムに関する事件に思うこと
 フランスでは町中でテロが、シリアでは身代金要求事件がたて続きに起き、双方ともイスラム過激派組織の犯行と報じられています。そんな報道に接し、5年ほど前に自主取材したタイ深南部のムスリムたちと、勤務先の仕事として国内で1年以上に亘って取材した日本人イスラム教徒のことを思い出しています。タイの最南3県には昔イスラム教国があり、今もイスラム教徒が多いのですが、当時過去5年間に約3,500人がテロの犠牲になっていました。3日と空けず爆発や火事、襲撃などがあって、そのあまりの頻繁さに人命が奪われてもニュースになっていなかったのです。やはり「外部資本の搾取と同化政策に反抗する過激派による」という説がありましたが、小生が3県各地を取材して回った限りでは穏健なムスリムばかりでした。漁の手を止め、メッカを拝むムスリムの父子ただし、戒律を守る敬虔さにおいては妥協はなく原理主義者たちのように感じたものでした。密着した漁師一家は掘っ建て小屋に住みながら1日5回の礼拝を欠かさず、出漁中の船の上でもメッカを拝んでいました(写真)。
 また、公私両面の取材を許してくれた日本人ムスリム一家も、職場や学校、近隣地域との付き合いの中で、同じく礼拝をはじめ食事や服装などへの理解を得ることの難しさを乗り越えてムスリムとしての生活を貫いていました。明治政府は神道を国教としましたが、今この国では信仰の自由が保障され、ある意味、明治以前のように、人それぞれ八百万の神を信じていたり、無宗教の人がいたりといった状況です。なので、その日本人ムスリム一家にとっても、欧米に比べれば暮らしやすい国だと思います。
 今回のテロの原因とされている風刺漫画は、元凶のイスラム過激派組織を揶揄しているのではなく、穏健なムスリムも信奉している預言者ムハンマドを対象としています。もし自分が信奉している「神」を何も知らない他人に馬鹿にされたらと、逆の立場で考えないのでしょうか。衣食住に困ることなく、自由に旅行でき、情報や娯楽も享有し、人生の不条理に苛まれることもない立場だと、一つのことを頑なに信ずる必要もないので、我が身に置き換えて考えること自体難しいのかも知れません。また、ムスリムの場合、冠婚葬祭だけでなく、日々の生活自体が戒律に則ったものです。件の雑誌はムスリムが増えている国や地域で、自分たちと異なった生活をし、違った価値観を持った人たちを理解したくない、受け容れたくないという人たちの溜飲を下げ、そういう人たちの間での部数売り上げを狙う編集方針ではないのかと思ってしまいます。ジャーナリストは偏見差別をなくすことが仕事、なぜなら、偏見差別は争いの元ですから。決して煽ってはいけません。
 欧米と歩調を合わせなければならないと考える日本の現政権ですが、根っこにある欧米のムスリムへの偏見差別傾向は留意すべきです。「傾向」としたのは、個人レベルではそうでない人も多くいるからです。反社会的なテロなどを起こす過激派は極一部ですが、世界人口の4分の1を占めようとしているムスリムたちに不快な思いをさせてはいないでしょうか。それが気になっています。(しんぼー)
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備えよ常に
 記憶が正しければ、「備えよ常に」は小生が子どもの頃に属していたボーイスカウトの標語です。大晦日から元日にかけて勤務先の仕事で雪山へ行っていたのですが、この心がけが大変役に立ちました。備えていたのはレンタカーをはじめタイヤチェーン、携帯コンロに食糧、最寄りのホテル予約、日頃ジムでの体力作り、ヘッドランプ、キャラバンシューズに滑り止め、杖、帽子と手袋、小型カメラです。どれが欠けても、取材は完遂できないばかりか、他人に迷惑をかけたり、法外な経費がかかっていたりしたと思います。
 タクシーは貸し切りで数万円になるだけでなく雪道は行ってくれないと思います。レンタカーは狭い道と雪に強い前輪駆動の軽を予約したのですが、借りる直前までタイヤサイズが分からないのに、一方でチェーンが売り切れそうな天気予報でした。そこで、最も多くの車種に適合するチェーンを前もって買っておいたところ、それでOK。山は予想通りの積雪と凍結で、ノーマルタイヤの車が立ち往生したり、ガードレールに当てたりしていました。取材の合間の待ち時間には、半径数キロはコンビニもない山中ですが、携帯コンロのお陰で熱いカップ蕎麦や雑煮、珈琲などで一息。現場からの往復を差し引くと2時間余りのホテル滞在でしたが、熱いシャワーを浴びて1時間半仮眠するのとしないのでは全然疲れが違ったと思います。未明から早朝にかけて初日の出の撮影で2.2キロの山道を往復したのですが、それなりの足下に防寒具、両手が使えるヘッドランプ、体力に合った小型カメラだったからこそ、撮影する余力が残りました。山頂の山小屋の寒暖計はマイナス8度。積雪10センチ程、下山時にはブリザードに見舞われ、ほっぺたが霜焼けになりそうでした。
針金のお陰で両手が使えた!  しかし、本当に今回助かったのは、小型カメラなどを入れて襷掛けにしていた鞄に忍ばせていた10センチほどの針金でした。壊れた金具の代わりに使っていた結束バンドが寒さで切れる可能性があったので、針金を入れた置いたのです。案の定、プラスチック製のバンドはパリッと割れるように切れてしまいましたが、修理は1分足らずで出来ました。あの急な山道で、両手が使えないことを考えると、やはりこれが一番役に立ったように思います。
 帰路、仕事を完遂した安堵と車内の暖房から、たぶん1秒ほど居眠り運転をしてしまいました。ヒヤッとして窓を全開にして走り、コンビニでカフェインドリンクを飲み、無事帰還することが出来ました。年に1、2回こうしたことがありますが、取材や撮影は結局ロジスティックスが肝心で、それが欠けると、いくら技術や経験があっても始まらないものだと、再認識する2015年最初の取材でした。(しんぼー)

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