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しんぼー/Shinboh

Author:しんぼー/Shinboh
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ルポ集『東南アジアの人びと』
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フォトジャーナリストの戯言
取材に基づく記事やビデオリポートではなく、日々の戯言
ビルマの選挙に思う
 先月、ビルマ(ミャンマー)で総選挙が行われました。しかし、複数政党制の民主選挙とは名ばかり。最初から4分の1議席は軍人に割り当てられていて、マイクロクレジットや携帯電話などを餌に与党党員を増やしての選挙だったと報じられています。小生は91年、民主派が圧勝した総選挙をラングーンで取材し、その後もタイ国境から幾度かビルマ国内の様子を窺ってきましたが、「やっぱり、またか」と脱力感さえ覚えます。
 小生が近年ビルマ国内を取材していないのは、在日ミャンマー大使館にビザを申請しても先ず撥ねられ、万一ビザが発給されてもミンガラドン空港で入国を拒否され、運良く観光客を装って街へ入り込めたとしてもマトモな取材が出来ないだけでなく、何のため誰のための報道という疑問が湧いてくることが自明だからです。
 というのは、ビルマ国内の人たちは、外国人記者の助手や通訳をやったりすれば確実に、一市民としてインタビューを受けたりするだけでも、記者と別れた途端、政治犯として逮捕・投獄されてしまいます。記者は自分の国へ帰れますが、勇気を振り絞って接触してくれたビルマ人に、大変な迷惑をかけてしまうことになるのです。その上、悪いことには、それだけの犠牲を払って実態を報道したところで、少なくとも過去20数年は軍事政権が居座り続けたまま、何も変わっていないからです。
 1988年国民蜂起のデモの先頭に立った全ビルマ学生民主戦線の議長は、タイ国境のジャングルに立て籠もって軍政と闘っていましたが、結局アメリカへ亡命。ラングーンに残していた妻子を呼び寄せ、今はニューヨーク州の芝生に囲まれた一戸建てに住んでいます。小生と一緒にバンコクで初めて食べた寿司に“一目惚れ”したそうで、アメリカでは寿司チェーン店を経営。真夏に来日した際に扇風機だけの我がアパートに招くと「この部屋、暑いね」と。ジャングルの暑さと湿気と蚊に耐えた闘士は、感覚だけでしょうが、すっかりエネルギー使い放題のアメリカ人に。圧政や迫害がこれだけ長引くと、楽しい時期がないまま人生が終わってしまいます。アウンサンスチーさんは流石ですが、元議長の生き方を日和見主義とは言い切れず、解るような気もするのです。(しんぼー)
 
 
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