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フォトジャーナリストの戯言
取材に基づく記事やビデオリポートではなく、日々の戯言
難しい質問をされて ~従軍慰安婦問題~
 同業者の間では前々から知られていたことでしたが、某大新聞が従軍慰安婦問題などの誤報を認め、社長が公に謝りました。強制されてであろうが、背に腹代えられない事情があったとしようが、或いは、自らの望んで従軍慰安婦になったとしても、名乗り出るのは何十年経っても難しいことでしょう。管理していた団体や個人に謝罪させ、名誉挽回を図ることが目的であっても、現代社会に於いても、いかなる事情があってもセックス産業従事者に対する偏見がある限り、名乗り出た人に対して、それまでしていなかった差別をする人がいるかも知れません。
 そうした当事者や被害者の側の証言が得難いなかで起こった誤報事件でした。裏を取っていない伝聞に、洞察ではなく憶測が加味され、捏造になっていました。当時、小生も対象地域は違いましたが、人権を蹂躙されたまま泣き寝入っている人はいないかとアンテナは張っていましたし、旧日本軍や自衛隊の駐屯地近くにいた女性には色々と当時の状況を聞いたものでした。しかし、軍や政府が表立って組織的に連行したり、慰安婦をしたりすることを強制した確証は得られず、取材したそのままを報じてきました。
 今回こんなブログを書くのは、冒頭の大新聞社の誤報問題が全国的に話題になっているなか、ある取材で出会った女性に「良くわからないんですが、あんなことは本当にあったんでしょうか?あなたはどう見てます?」と難しい質問をぶつけられたからです。小生など完全に戦後生まれで、第二次世界大戦の頃のことはお年寄りに聞くしかなく、後はそれ以降、自ら取材したインドシナ戦争や自衛隊の海外派兵などの状況から推察するしかありません。ですが、小生は自分なりの一定の見解を持っていたので、彼女には次のように答えました。
 国が農業改革や近代化の途上で、徴税制度や福祉行政が貧弱なまま、貧富の差が極端になることがあります。また、現代日本を含めて工業化し、さらには国内には主にサービス産業しか残らないような経済構造になる一方で、本人の努力、つまり一世代ではなかなか階層を超えることが難しいといった硬直した経済社会もあります。そんな連鎖する貧困に喘いでいる人が1日で一週間分の、或いは1か月で年収のような報酬で誘われ請けた場合、それを自由意志による選択と言えるでしょうか。その報酬を払う側の人は金銭的にも余裕があり、高い教育も受けられていて、そこには自分と違って自由意志などない、或いは、社会構造や自分の未来を考えられるだけの教育も受けられていないということを知っている筈なのです。こんなことを言うと、その女性は納得してくれたというより、社会の嫌な面を聞かされたといった感じで、それっきり質問を重ねることなどなく、話題を変えたのでした。(しんぼ-)
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