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ルポ集『東南アジアの人びと』
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フォトジャーナリストの戯言
取材に基づく記事やビデオリポートではなく、日々の戯言
義勇兵を志願する人たち
 イスラム過激派のイスラム国の義勇兵を志願する日本人青年が現れ、大騒ぎになっています。原理主義でなくても、イスラム教信者=ムスリムになる、つまり戒律を守るというのは、日本では並大抵なことではありません。小生は国内でイスラムに途中帰依した人たちに密着取材したことがあります。先ずはコーランの勉強、1日5回のお祈り、そして、食べ物、酒、女性だと服装、年に一度の断食など日常生活のあちこちで日本の生活習慣と食い違い、横並びでないと奇異な眼で見られるこの社会において、周囲の理解を得るのもですが、収入を維持していくことも大変です。対人のサービス業が最も難しく、農林水産業だと比較的ぶつかることが少ないかも知れません。
 さて、その青年は、まずムスリムとして生活していたのでしょうか。キリスト教や仏教が性善説をベースにしているのに対して、イスラム教では人間は欲深くて仕方がない存在だという性悪説に立ち、だからこそ、まずは日々の生活の中で自らを律せなければならないと厳しい戒律を守ろうとしているように思いました。信者の間では固い互助精神がありますが、穏健派の信者同士では「あなたは戒律を守っていない」といった指摘はせず、他の宗教を信じている人や無宗教の人をイスラムに帰依させることを、勤行とか徳を積むこととかにはしていないようです。
 一方、宗教は関係ありませんが、軍事政府の国軍と戦っていたビルマの少数民族の義勇兵になると現地を目指した元自衛隊員を取材したこともあります。彼の場合、正義感というか勧善懲悪の意識は強いのですが、とにかく武力に訴えるしかないという考えでした。たとえ紛争を武力で解決したように見えても、鎮圧された方はいつまでも怨嗟が残り、真の和平は来ません。また、自分たちの権利や資産を守るためであっても、武力行使はしたくないと思っている人が、政府や上官の命令で仕方なく武器を手にしていることも少なくないと思います。武力衝突すれば、どちらか、或いは両側に死傷者が出たり、仕事や家族、故郷を失って人生が滅茶苦茶になってしまう人が出たりします。
 想像力の欠如というより、武力行使の先に起こりうることを想像すること自体を、彼は軟弱と言っていました。なぜ、そういう考えに至るのかと、小生は一生懸命理解しようとしました。今回のイスラム国を目指した青年は就職に失敗していたと伝えられています。やはり、今いる社会で彼らは自分の居場所や夢を持てず、不満や怒りばかりで、それが少しの努力では解決しないという閉塞状況にあり、少なくともその社会内では自暴自棄になっているのではないでしょうか。ビルマの少数民族に加勢しようとした彼も、定職はなく、恋人も配偶者も子供もいないと話していました。大国や体制に追い詰められている勢力に、身を捧げれば、受け入れてくれますし、たとえ言葉が通じなくても居場所を与えられます。それが魅力なのでしょうか。やはり一つの国の中でも、国境を跨いでも、負け組だとか、アウトローといった階層が生じないようにし、既にある場合はなくす努力をすることが、遠回りのようでも平和維持と和平への近道だと思うのです。(しんぼー)
 
 
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テーマ:軍事・安全保障・国防・戦争 - ジャンル:政治・経済

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